役所仕事の典型 超くだらない定額小為替の世界


本日の話、興味がない方にとっては本当にどうでも良い話だが、分かる人には「そうそう、それそれ」と激しく共感を得ることだろう。

さて、定額小為替をご存知だろうか?

おそらくほとんどの方は一生涯使うことがないだろうが、我々のように不動産の仕事をしているとわりと頻繁に利用する。

郵便局で発行してもらう「証書」で、受け取った方はそれを郵便局で現金化することが出来る。

例えば、遠方の自治体に何かしらの書類(戸籍、住民票、証明書など)を請求する際、その手数料が400円であれば、400円の定額小為替を郵便局で購入し書類に同封する。

役所側はそれを郵便局で換金する。そういう流れだ。

その仕組みの起源は辿れば明治時代にまで遡れるくらいの古い制度で、現在の形の定額小為替になったのも昭和36年と、今から50年も前の話。

つまり古カビが生えたようなものが今も現役で使われている。

いや、使われているどころか、遠方の書類を取得しようとすれば、これしか選択肢がないため、自治体によっては年間数万件の定額小為替を受け取っているとのことだ。

これが本当に面倒臭い。

たかが数百円の手数料のためにわざわざ郵便局まで行かねばならず、かつ手数料もバカ高い。

金額に関係なく1枚200円。

額面400円の定額小為替を発行するために200円の手数料がかかり、合計600円。

余談だが以前、ある書類を発行してもらうために350円の定額小為替を同封した。

しかし、役所から「50円足りない」という連絡が入り、これ自体は自身のミスなので仕方がないのだが、50円を送るために手数料200円を支払う羽目になり、何とも釈然としない思いをした。

一体何なんだ、この制度!!切手で良いだろ!!

だが役所は絶対に切手では受け付けてくれない。

その理由は盗難・横領防止らしい。

仮に郵便配達員や受け取った役所の職員に悪意があった場合、切手をそのままネコババすれば、それはそのまま切手として使用することが出来る。

だが定額小為替は郵便局の窓口まで行かねばならず、かつ換金時に本人確認もするため、盗難すれば身元がバレる。

つまりそこに一定の抑止力がある「らしい」のだが、現実的にはたかが数百円、数千円のお金欲しさにそんな不正を働く奴がいるとも思えない。

送り元としてもいつまで経っても書類が届かなければ、不審に思って役所に直接連絡するだろうから、確実に事件が発覚する。

むしろ切手の方が換金性がないので(窓口で換金できない)、安全なのではないか?などとも思う。

ちなみに定額小為替を多めに送った場合、お釣りは切手であることが多い。

自分は良い、というこの理屈もよくわからない。

が、おそらく昔の偉い人が「こうだ」と決めたのだろう。

今でも綿々と同じ方法を続けている役所仕事の愚かしさを痛感せずにはいられない。

しかし最近、ついにこの制度が変わる「きっかけ」となる出来事があった。

東京の墨田区と三鷹市が、クレジットカードを利用できる制度を導入したのだ。
(墨田区2023年10月から、三鷹市同年12月から)

このシステムでは利用者はネット上から指名、住所、必要書類などの情報を入力すると「請求番号」が発行される。

その番号を書いて請求書を自治体に郵送、その後、手数料が提示されそれをクレジットカード決済すれば、自動的に書類が届くという仕組み。

ネット情報で請求から交付までの進捗状況が表示される上、足りない情報、書類などがあればそこで指示されるため、利用者、職員ともに利便性が高い。

以前は全て電話でやり取りしていたが、それをネット上に集約出来ただけでも手間は相当に省けるだろう。

但し、まだ郵送が必要であるため、今後は完全なオンライン化を目指すそうだ。

何にせよ素晴らしい一歩だと思う。

裏には富士フイルム系のIT企業がいるそうだが、さっさと全国に広めて、住民の利便性を高めて欲しい。

それこそ「役所仕事」のような気もするが・・・・

本日のコラムでした。

 

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6月 9th, 2024 by