頂き女子被害状況報告2024


「僕はその思い出で生きていける。素晴らしい夜だった。」

Sさんは静かにそう言った。

その目は一点の曇りもなく澄んでいた。

これも愛。なんだろう・・・・

 

さて、何となく小説風に始めてみたが、本日のコラム、そこまでの中身のある話でもない。

いわゆる「頂き女子」に関することだ。

と言うのも自身が40代になり、当然、周囲も同世代になるのだが、最近、この手の話を耳にすることが多い。

若い女に貢ぎ、そして、何かの口実をつけてはお金を取られ、挙句、最後は捨てられる。

詐欺とまでは言わないが、なかなか苦い経験ではある。

私の周囲は被害総額100万円以内の「プチ詐欺」で済んでいるが、報道されているような「本物詐欺」の頂き女子系事件などでも、その被害者のメイン層は40代であることが多い。

何となく想像するに、40代というのは「最後の悪あがき」と言うか、努力次第ではまだまだイケてる人もいる(と、本人は思っている)

またこれを「イケおじ」などと持ち上げる風潮もある。

これが50代にもなると、どんなに若作りしても「まあ、みんなおじさんだよね」と言う感じになるが、その点、40代はガチからイケまで個体差が大きい。

そのため「俺もまだまだいける」そう思い、若い子と対等に付き合おうとする人もいるのだろう。

ただし、そのような自己認識とは異なり、若い世代から見れば誰もが「おじさん」

また30代より収入も増え、余裕もある世代なので、頂き女子からすれば良いカモとなる。

 

色々なパターンを聞いたが、それを総括するとおおよそ以下のような流れが王道だ。

1 何回か食事

2 何度目かの食事の際におねだり(2,3万円のバック、靴、洋服。おそらくテスト)

3 LINEはかなりマメ

4 距離が縮まったタイミングで親が病気(10~50万円)もしくは引越し(ターゲット男性の家に近づく転居。もちろん嘘)

5 このあたりからLINEが煩雑(焦らす)

6 露骨に「食事だけ」は敬遠され、おねだり(2)か、大金(4)がないと付き合わない

7 おかしいぞ?と思った男性から詰められる。その瞬間、LINE、電話が一切繋がらなくなる

 

なお、中には財布からダイレクトに金を抜かれていた、という話もあり、おそらく食事中、トレイなどに立った際にやられたのだろう、ということだった。

これなどは完全に犯罪だが、1,2万円程度だと意外と気が付かないらしい。

あまりに毎回減るため、ある時キリの良い「10万円」を入れて戦場に臨んだところ、見事に8万円になっていたそうだ。

とんだ借り暮らしのアリエッティだ。

しかしながら、このあたりの話はどっちもどっちと言うか、若い子と遊びたいおじさんと、そのおじさんを利用する若い子という点では対等。

むしろ、20代の貴重な時期に、若さと美貌を売りにこんな下らないことをやっている女性の末路などたかが知れている。

そう思えば、すでにそれなりの経済力がある40代の男性が「胸を貸してあげている」とも言えるわけで、かつ多少騙された方が人生のネタになるから十分元が取れている。

だが、中にはシャレにならないと言うか、相手を本気にさせてしまうケースもある。

それが冒頭の話。

Sさんは私の大先輩で、親の経済的事情で進学出来ず18歳で社会に出た。

数社を渡り歩き、苦労して40歳ごろにそれなりの地位、貯金を持っていたが、仕事が忙しかったせいか恋愛には無縁で、一度も女性とお付き合いしたことがない。

そして、ここで運命の出会い。

取引先に連れていかれた六本木のキャバクラ、横についた20代中盤のAさんに一目ぼれ。

そこからは歯止めがきかなかった。

Aさんの「今日暇なの」という営業メールを全て真に受け、頻繁に来店。

「お母さんが27歳で結婚してすぐに私を産んだので、私もそれまでにはこの商売を上がりたい。誰か貰ってくれないかな?」

その言葉を信じ、お布施にお布施を重ねる。

お店で使い、プレゼントを贈り、ド定番の「お母さんが手術」にもお金を払った。

わずか一年ほどで全財産を使いきってしまい、更に借金も重ね、もうこれ以上は使えないとなった夜にプロポーズ。

流石にAさんも、もう逃げられないと思ったのだろう。

一夜を共にし、そして姿をくらました。

その後、お店の他の子に聞いた話では、歌舞伎町のホストとずっと一緒に暮らしていて、その彼と結婚するために地元に帰った、そうだ。

ちなみに年齢は30歳だった。

 

居酒屋でこの話を聞いた時、私はあまりのことに憤りを抑えることが出来なかった。

だがSさんは静かにこういった。

「僕はその思い出で生きていける。素晴らしい夜だった。」

Aはとんでもない女だが、それでも最後の最後、Sさんの気持ちの後始末をした。

ある種のプロ意識を感じ、その点では最近の頂き女子とは少し違う。

でもね・・・とは思う。

ちなみにSさんは今も独身だ。

夜の街には、この一件以来近づいていない。

本日のコラムでした。

 

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5月 19th, 2024 by